ニュースレター

2012年5月7日

「ニュー プラネット」第31号 『やる氣』になる為のキーワード


早いもので東日本大震災から1年2か月が経過しました。
東京では今年の桜もおわりましたが、新緑が美しく、空気感も氣持ちのよい季節です。
今号は、身体を動かす習慣作りについて脳の研究家、東京大学大学院薬学部の池谷裕二先生のご本を参考にしてみたいと思います。

身体を動かすのがいいとわかっていても、簡単なエクササイズすら習慣化しないというのはよく聞くことです。一方で、やる氣がおきるのを待っていてはいつまでたってもやらずに終わってしまう、ということも多くの人が理解していることだと思います。

池谷先生も著作の中で解説していますが、「やる氣は迎えにいくもの」であり、身体を動かしてから、やる氣があとからついてくるのです。
以前にもニュースレターにとりあげましたが、脳の気持ちになってみましょう。
脳は、豆腐のように柔らかい組織で、脳脊髄液という液体の中で、頭蓋骨の中に守られて存在しています。周囲は暗く、情報は身体の持ってくる五感がたよりです。

例えば、美しい色、かぐわしい香り、ふわふわした触感、甘い味など、身体のもってくるこれらの情報が信号に変換されてようやくスイッチが入り、脳は動き出すといいます。
ですから、頭の中だけで、この体操をして、とか、散歩のルートを考えて、とかではやる氣はなかなかおこらないのです。
まずは、身体をとにかく動かしてみる、というところから「やる氣」を迎えに行くと脳はスムーズに指令をだしはじめるのです。
池谷先生いわく、
「やる氣がでたからこぶしを上げる」のではなく、「こぶしを上げたから、なんだかやる氣が出る」のです!
習慣にたどりつくまで、「やる氣」になっているとき、脳の中の淡蒼球という部位が活性化されているといいます。
この淡蒼球は、自分の意志で動かすことはできません。
無意識に関係しているため、淡蒼球を活性化させるための補助スイッチが周囲にあり、そのキーワードは池谷先生の解説では以下の4点です。

B:BODY
身体をうごかすこと

E:Experience
いつもと違う新鮮な経験をする

R:Reward
ごほうびを与える

I:Ideomotor
なりきる

これら4点のうちいずれかをスイッチにして淡蒼球が活性化して、やる氣がわきあがり、習慣化への道が太くなるのです。

例えば、毎日ウオーキング30分する、と決めたとします。
この場合、
B:とりあえず起き上がり外に出て歩き出す、
E:いつもと違うことをする → はじめての目標地点をめざす
R:ごほうび → (はじめての場所で)おいしいたこ焼きを買う
I:なりきる →かっこいいウエア、帽子、万歩計などを身に着けアスリート気分にひたる

このようにやる氣のかなめである脳の淡蒼球を活性化させる手段を知り、実行すれば、習慣化という回路に入りやすくなります。
ですから、やる氣がなかなかおきなくて、氣持ちが沈みがち、という場合は、身体を動かすことから逆に脳に活性化をもたらす方法をとりいれてみましょう。
クリニック内の様々なプログラムも、診療も、そのような視点から利用してみてもいいと思います。

*「のうだま」やる気の秘密
池谷裕二、上大岡トメ 著 幻冬舎
はイラスト入りで大変わかりやすいものです。クリニック図書にもありますので参考になさってください。
5月は春のスタートで緊張した心身がゆりもどされる時期でもあります。
ぜひ今号の内容をご活用ください。