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2013年2月4日

「ニュー プラネット」第38号 自律神経のお話


2月に入りました。寒暖の差が強く感じられる日々ですが、三寒四温で春に向っていくことでしょう。
寒さや湿氣で体調が変化するという経験をされている方も多いと思いますが、今日は
自律神経についてのお話です。

「神経」というと、1本のとっても細い、繊細な管のようなものが体内を走っていて身体をうごかしている、というイメージでしょうか。
実際のところは、脳(中枢神経)が手を動かせ、足を出せ、というように指令を出す際は運動神経と、関節の位置や皮膚からの温度や触覚などの情報を脳(中枢神経)に伝える際は感覚神経、と名づけられた系がまずあります。
これらは「体性神経」と総称される系で、一般的に神経、という言葉でイメージされるのはこの体制神経系のことが多いでしょう。体性神経は脳の表層の広い範囲を占める大脳新皮質とつながり、情報をやり取りしています。

一方、私たちの意思にかかわらず、生存のために肉体に装備されている神経系もあり、
こちらは自律神経系と言います。自律神経は系ですから、一本の、自律神経という神経があるわけではありません。システムになっています。
たとえば、私たちは自分の意志で体温を上げたり下げたりすることはできませんし、頭で呼吸を1分間に100回にしようとか、心拍数を1分間に10回におさえよう、と考えたとしてもその通りにすることはできません。(例外的に訓練を積んだヨガの行者等はできえます)

自律神経系が存在している意味は、おそらく生存のためだと考えられます。
いちいち頭で考えて内臓、体温、呼吸、心拍数などを調整することが命取りになりかねないため、脳の脳幹という場所で自動制御しているわけです。
わかりやすく言うなら、たとえば睡眠中に「呼吸をするのを忘れていた、心臓を動かし忘れていた」ということにならないように、脳幹が自律神経系を通して生体を生存にむけてなんとか面倒をみてくれている、というわけです。

自律神経系には、交感神経系と副交感神経系が存在しています。
ともになくてはならない系で、どちらが一方より優れているわけでも劣っているわけでもありません。大切なのは臨機応変なバランスで、両系統の柔軟な動きやすさです。
よくシーソーのたとえでお話しますが、片方(交感神経系)だけに力が入りすぎていたり、負荷がかかりすぎていたりすると、もう片方(副交感神経系)も影響を受けて、シーソー全体(自律神経系)がガチゴチになって動かなくなってしまいます。
現在の私たちの日常生活ではさまざまな要因でこの自律神経系の2種の系の動きがぎこちなくなっています。
ですから、副交感神経系が弱りすぎている場合は副交感神経系を活性化したりあるいは交感神経系を少し動かすような手法を、交感神経系に負荷がかかりすぎている場合は、交感神経系を休ませたり副交感神経系を活性化したり、というようなアプローチを使います。

ここで明記したいのは、自律神経系は頭で考えていることに直結していないということです。生存のための身体自体の智慧ですから、「よく眠れています」「ストレスはありません」と頭で思っていても、身体は別の情報を受け取っていることがよくあります。

診療で「身体は何と言っていますか?」「腰は?」「膝は?」と申し上げますが、身体とつながる、ということは身体の感じていることを感じようとしてみる、ということでもあり、それは自分自身の人間としての通常の感情をいったん認める、ということにもつながっています。

ですから、自律神経のバランスが悪い、あるいは自律神経が関係している、という病態だと感じたら、それは何か固定した「疾患名のつく病氣」というより、人間としての自然なあり方にあまりに反していることはないだろうか、という問いかけでもあります。
もちろん、人類全体の大きなテーマもあることでしょう。1人だけで解決できることばかりではないでしょう。
同時に、自分が取り組むことも必ずあるのです。たとえば、少し生き方をペースダウンするとか、人の話をゆったりと聴くとか、楽しい経験をするとか、大いに笑うとか、自己批判をやめるとか、自分の癖を見直すこととか、小さなことでも自分なりの氣付きと行動が大切なのです。
大きくいえば、身体は自然界の一部でもあるのですから、自然の声に耳を傾けるということが、自分自身の内側に正直に耳を傾ける、ということでもあり、それが身体とのよりよいコミュニケーションだと感じています。3月2日のスピーカー、萩原優先生の著書「がんと催眠療法」などにも同様のことが書かれています。

体調の思わしくない日もあるでしょう。痛くてイライラしてしまうときもあることでしょう。そういうときは家族や周囲に助けてもらいましょう。
一方で、調子のいい日もあるはずです。そういうときは、身体や自然に感謝しましょう。
今日も生きていることは、自分だけの意思ではないはずです。
実は、心から感謝すると、心身の不調は少し逃げていきます、本当です。是非実践していきましょう。今号もお読みいただきありがとうございました。